エッセイコンテスト総評 

エッセイコンテスト総評

募集期間が比較的短く、今回は京都府と滋賀県を中心にした募集であったにもかかわらず、東は
宮城県、西は愛媛県といった地域から61篇もの力作が集まった。若い世代の旺盛な表現意欲に
私たちは目を見張る思いであった。テーマを自由としたためか多種多様な文章が寄せられたのも、
高校生の多面性が垣間見られて、審査する側としては嬉しい事態だった。

もっとも、応募作品のおよそ3分の1が小説だったことは、私たちを困らせた。それもエッセイとの境界
線上にある「私小説」ならばまだしも、ファンタジー・ホラー・SF的要素の濃厚な作品がほとんどなのだ。
別の観点でいうと、「恋愛小説」が列をなした。これは高校生の関心や嗜好の反映にちがいないし、
読み応えのある印象的な作品もいくつか目についたので、なおさら困った。しかし、エッセイと小説を
同一の基準で評価することはできない。そこで今回、小説(とそれに類する作品)に高い評価を与える
ことはできなかった。また規定の字数を超過している作品も、それが力作ゆえの結果であることは承知
の上で、やはり評価を下げざるを得なかった。発想や表現の点で既成のものに多くを負っていると判断
した作品にも、やむなく同様の措置をとり、最優秀賞や優秀賞に選ぶことはできなかった。しかし、
そのような中から今後の期待をこめて、当初は設定していなかった奨励賞と学生サークルの大谷文芸
が選んだ特別賞を新たに置いて賞することとした。

エッセイという文芸ジャンルを正確に定義するのは至難だが、一般的には「自分自身とその周辺を題材
にしたノンフィクション」を連想する向きが多いと思う。しかし、さすがに若い人々だ。応募者はそのような
通念には染まっていない。その証拠に今回の作品の山の中にはいわゆる身辺雑記は少なく、瑞々しい
感性に貫かれた詩的散文や、思考の鋭さが光る論考などが端座していた。読書感想文も小論文も、
もちろんエッセイに属する。とはいえエッセイコンテストと銘打つ以上、国語の課題作文の範疇には
収まらない独創的な文章、表現そのものに魅力がある散文作品を、私たちは求めている。

なお、今回のコンテスト開催に際しては、各高等学校で文芸部の指導などを担当しておられる先生方
から多大な御尽力を賜った。この場を借りて感謝の意を表したい。

                                           大谷大学 エッセイコンテスト

                                              審査委員長 國中 治